ここ数年、シンガポールの銀行に口座を開くことがブームになっていました。
シンガポール政府は、アジアのスイスを標榜し、それに投資家が期待する形で口座開設希望者が殺到したのです。
しかし、最近、本当にシンガポールは「スイス」になれるのだろうか、という声が聞こえてくるようになりました。
シンガポールはクリーンなイメージを重視しています。
それは、シンガポールで金融取引を行う当事者にも強く求められる要素のようです。
つまり、大口の資産家であっても、怪しげなバックグラウンドを持つ者や資金は排除される可能性があるということです。
クリーンな金融取引環境を整備すること自体は良いのですが、それを有無を言わさずに強制することになれば、おそらくシンガポールは「スイス」になれません。
もう一つの懸念材料は、シンガポールという国が「明るい北朝鮮」の異名を持つ独裁国家である点です。
これは為政者の恣意に基づき、政策が容易くかつ迅速にコントロールされる可能性があることを意味します。
その意味でシンガポールは、経済大国でありつつも共産党一党独裁体制の中国に似ているかも知れません。
スイスは、良くも悪くも清濁併せ呑む歴史的な実績と人材を持っています。
シンガポールは、まだまだ実績が足りません。
また、清濁併せ呑むという点では、まだ香港に軍配が上がる状況です。
今後、シンガポールを利用しようと考えている方は、これらの点を考慮して動かれることをお勧めします。