東京証券取引所と大阪証券取引所の上場投資信託(ETF)の2008年の売買高が、過去最高になったことが、23日分かった。日本では知名度の低さなどから売買が伸び悩んでいたETFだが、金融危機による株安を、好機と判断した個人投資家の積極的な売買が続いている。

 ETFは、価格が日経平均株価などの株価指数や商品指数に連動する投資信託で、証券取引所に上場されており、株と同様に取引できる。東証に58銘柄、大証に11銘柄が上場している。

 08年のETFの売買高は、東証(海外の運用会社が組成した3銘柄を除く)が前年比18.0%増の22億2226万口、大証は同82.9%増の2億6721万8000口で、それぞれ過去最高だった05年と07年を更新した。売買代金も、大証が同6.4%増の2兆5378億9100万円と過去最高となった。東証は同8.7%減の2兆4017億円で前年を下回ったが、4年連続で2兆円を超える高水準を維持している。

 昨年は、9月のリーマン・ショック以降の株安局面で、ETFの取引が急増した。「個人投資家による将来の値上がり期待の購入が増えた」(東証)。さらに、ETFは、東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)や日経平均と連動するため、特定の銘柄の値動きで運用成績が左右される株式投資よりも、リスクが分散できると判断して、ETFを選ぶ投資家が増えたとみられる。

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【予報図】

 ■銘柄、顧客拡大で市場育成を

 売買高が伸び、日本でもようやくすそ野が広がってきた感のあるETFだが、海外の取引規模は日本とはけた違いだ。日本のETFの資産残高が昨年12月末現在で、2兆5245億円なのに対し、米国は同10月末時点で5400億ドル(約48兆円)で、株式市場の1日当たりの平均売買高の40%近くをETFが占める。

 この世界との差を埋めるため東証は、10年度までに現在からほぼ倍増の100銘柄を上場させる目標を掲げる。ただ、意気込む証券取引所の足元をすくいかねないのが、個人投資家に急速に広がる投資のIT(情報技術)化だ。ネット証券を通じて海外のETFを購入する個人投資家が増えている。海外ETF取り扱い銘柄トップの楽天証券によると、「2008年12月の海外ETF月間売買代金は、07年12月比で55%増」と急増した。

 個人投資家が、海外ETFに向かうのはなぜなのか。ETF世界最大手の英BGIグループの日本法人、バークレイズ・グローバル・インベスターズの関塚健太郎取締役は「流動性が圧倒的に違う」と指摘する。海外ETF市場では、1日当たり東証1部全銘柄の売買代金の約10倍前後に匹敵する売買が行われている。日本の売買はTOPIXや日経平均連動型など一部に集中し、「価格がなかなかつかなかったり、上場廃止のリスクを抱えた銘柄もある」(市場関係者)状況だ。

 投資家層の違いも大きい。関塚氏は「海外では機関投資家がETFを積極的に利用するようになって、飛躍的に流動性が高まった」という。一方、日本では、機関投資家がETFの設定には参加するが、自ら投資することは少ない。これまで一般の投信ファンドにはETFの組み込み比率に制限すらあり、今月にようやく撤廃されたが、機関投資家の動向が注目される。

 金融商品取引法の改正で、日本でもETF組成の制限はかなり緩和されたが、幅広い投資家を呼び込む市場環境を整えない限り、国内ETF市場の発展も望めない。(阿部賢一郎)