オフショアリークの一件以来、庶民層でオフショア利用者は明らかに激減しています。
いわゆるタックスヘイブン・オフショアの利便性は依然として高く非常に有用ではあるのですが、そのポテンシャルを活かすためのコストがかなりアップします。ノミニーを入れたり、法人を複層構造にしたり、追加費用が結構かかるわけですね。
特に匿名かつ低い税率金融ギャンブル成人向けコンテンツ販売、精力剤販売、ネットワークビジネス、果ては宗教政治絡みの事業を行いたい、というニーズを満たすには最低でも数千万円以上の事業資金を用意できている方でなければスタートラインにすら立てません。
別の言い方をすれば、しっかりと予算を用意し入念な準備を行えば、莫大な収益を手にすることも可能です。


インターネットサービスとオフショア法人


オフショア法人ベースで何らかのオンラインサービスを展開する場合、サーバーの問題が必ず出てきます。
主に回線容量、データ保管セキュリティ、サーバーのデータ処理能力、保守管理するスタッフの問題です。


いくつかのオフショア国(特にインターネットバンキングやオンラインカジノに力を入れているような国)はフリートレードゾーンのような特区を整備し、その場所だけインターネット環境が整っているという例外はあります。しかし基本的にタックスヘイブンと呼ばれるような国はインフラが弱く、まともなインターネット環境が整備されていないと考えたほうが無難です。


このような場所でインターネットベースのオンライン事業を行う場合、通常よりもコストが高くなりがちですし、保守管理スタッフなど24時間体制で常駐させることが事実上不可能だったりします。
そのため、実際の事業拠点はインフラが整備されている「オンショア」の国に置かれていることが多いわけですが、無修正アダルト動画など日本から配信すると法律に抵触してしまうようなケースが想定されます。


海外配信AV動画の例


動画は明らかに日本国内で撮影されているが、配信元は海外サーバーからなされている、というケースは多い・・・というより、ほとんどこのパターンですが、この場合どのように処理しているかといえば、実は無修正AV動画データが日本国内のサーバで保管されており、ホームページ運営管理も日本国内で行われていることが多いです。
詳細は省きますが、ユーザーがアクセスする先の海外サーバーには実際にはデータが存在せず、しかしながら、あたかも海外のサーバーから配信されているかのように見せ、実は日本国内から配信している、というようなことをします。
サーバーの保守管理や回線使用料を考慮した場合、そのほうが安く上がるからというのが大きな理由ですが、このようなシステムを構築するには初期段階である程度のシステム構築予算を計上しておかなければなりません。


セキュリティ対策


オンラインサービスとセキュリティ対策は切っても切れない関係にあります。
特に決済に使用されるクレジットカード番号や顧客の個人データは、クラッカー(悪意のハッカー)に狙われやすい最重要データです。
オンライン専業サービスを展開する場合、クラッカー対策のためデータ管理方法を工夫する必要があります。
例えば、ダミーデータを用意して攻撃対象を集中させないようにしたり、データ自体を複数に小分け(パケット化)してダメージの最小化を行なったり、ある程度「侵入されること」を想定した対応が必要になります。
オフショアバンクの場合、国家機関が攻撃を仕掛けてくる場合もあるため、セキュリティ対策は常に最高水準を維持する必要があり、コストアップの要因になります。


スパム・スパイウェア・アドウェア


いわゆる迷惑メールを大量に送信するようなスパム業者は、一般的には単なる嫌がらせ業者ですが、スパムフィルターを突破して営業メールを送り込む技術は、セキュリティ対策側から見ると研究対象として非常に興味深いものがあります。
最近、デルタサーチDelta Search)というブラウザ寄生&乗っ取りアドオンが問題になっていますが(デルタサーチの削除方法)、これも一種のスパムといえるでしょう。
スパイウェアやアドウェアを強制的にインストールさせる技術は、道義的には賛同できませんが技術的には感心させられます。


どこでもない場所


インターネット上でのビジネスを突き詰めていくと、特定の国に縛られない「どこでもない場所」でのビジネスになっていきます。
当然、どこでもない場所での経済活動のためのオフショア法人とは相性バツグンです。
問題は、意外とビジネスオーナーがインターネットに疎い人であることが多い、という現実でしょうか?この場合、システム構築と維持に費用がかかるという点に意識が回らないので、非常にショボイ結果に終わることが多いです。中には、サーバー費用を予算計上せず、仕方がないので無料サーバーでサービスインした驚愕のケースも存在しますが、当然そのような事業が軌道に乗ることはありません。