2014年07月20日

オフショアとUSドルとアメリカのジレンマ

USA no thank you

国際基軸通貨として、米ドル vs ユーロの構図が語られて久しいですが、今なお実質的に基軸通貨と呼べるのは米ドルしかない状況です。

それでも、かつてよりも明らかに力の衰えたアメリカ=軍事力の低下は、その必然として米ドルの国際的信用力の減衰を招き、ひいては基軸通貨としての地位低下につながりかねない事態が現実的に進行中です。

米ドルが唯一の基軸通貨としての地位を失った場合、アメリカという国が瞬く間に凋落するであろうことは容易に想像出来ます。当然、アメリカはそのような事態に陥ることを防ごうと手を打ってきますが、今のところオバマ政権の対応が上手くいっているようには思えません。
オバマ政権は、何か問題があるとすぐにドル決済停止措置やVISA・MasterCard取引停止措置を持ち出しますが、かつてのような唯一の経済大国かつ軍事国家(事実上の世界政府)であればいざ知らず、現在ではかえって"ドル離れ"、"アメリカ離れ"を引き起こしています。

最近、HSBC香港で法人口座を開設された方なら分かるかも知れませんが、業務内容にアメリカとの関連性が認められると、口座が開けない可能性があります。具体的な理由は分かりませんが、これも"アメリカ離れ"の一旦と見て取れます。
ロシアは、クリミア半島編入の際、VISA・MasterCardの利用停止措置という経済制裁を受けています。この時、アメリカ企業であるVISA、MasterCardが経済制裁としてカード利用停止を行う可能性があるというリスクを現実化させてしまいました。これにより、ロシアは中国・銀聯のような独自決済ネットワーク構築の模索を始めました。
スイスのクレディ・スイスは、アメリカの富裕層の脱税を幇助したとされる問題でその罪を認め、約2900億円の罰金を支払うことになりました。スイス国民の反米感情が高まれば、現在スイス政府がイランでアメリカ大使館としての領事事務を代行しアメリカの窓口となっていますが、この役割を拒絶する事態に発展しかねません。
フランスのBNPパリバは、最近、アメリカと9100億円規模の制裁金支払に同意したことがニュースで話題となりましたが、フランスが属するEU諸国はドル決済のリスクの高さを目の当たりにすることになり、今後、アメリカ国籍以外の国(例えば、アジア諸国)との取引には、ユーロや人民元での決済を推進するかも知れません。

今のところ、すぐにドルがユーロや人民元に置き換わるということは無いと思いますが、アメリカが自らを孤立化させるような政策をとり続ける限り、将来のポスト・米ドルを模索する動きは加速していくと思われます。ただ、現時点で、ユーロや人民元は、決済通貨としてはまだまだ通用力に問題が多いので、どうしても米ドルベースで動かざるをえない部分が大きく、"ドル離れ"が進みつつあるといってみても、実際には完全にドルからは離れられません。
それはクレディ・スイスやBNPパリバが巨額の罰金を支払ってでも、アメリカ国内での銀行免許を維持しようとしたことからも窺い知れるところです。当面の間、米ドルや対アメリカとの取引について非常に神経質な対応を求められることになるでしょう。
つまり、米ドルが絡む決済(送金)や銀行口座開設が、間違いなくますます面倒になる、ということです。

国際取引、国際決済が必須のオフショアツール利用者にとっては、まったく頭の痛い問題です。



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