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グレートリセット大恐慌を生き抜き資産と命を守る方法

タグ:キプロス

ラトビアがキプロスからの逃避資金受け入れを拒否する方針を表明しました。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLFKD56S972A01.html


ラトビアのドムブロフスキス首相は先月、ツイッターを通じて、「ラトビアはキプロスを逃れた資金の獲得競争に加わるつもりはない」と言明。今月11日にツイッターに寄せた別のコメントでは、「非居住者のビジネスは危険性が高い」との認識を示した。


「非居住者のビジネスは危険性が高い」という認識を持っている、ということは、近い将来ラトビアはオフショアバンキングサービスを止めるか、あるいはハードルを上げてくるかも知れません。


銀行預金者に巨額の負担を押し付けるという前代未聞の離れ業によってキプロス危機は何とか回避収束できる見込みになりました。
しかし、銀行預金の1/3以上が非居住者ロシアマネーといわれるキプロスにとって、むしろ本当の危機はこれからなのかも知れません。
キプロスは、ソ連崩壊直後から資金逃避先として急激にロシアマネーが流入し、それをてこに国際金融立国としての地位を獲得してきたという経緯があります。つまり、ロシアあってのキプロス。それだけに、今回の「高額預金者への多額の負担強制」は、キプロスにしてみればいわば踏み絵のようなものだったでしょう。


ただ結果として、キプロスは苦渋の選択とはいえ高額預金者の預金へ高額課税(強制徴収)という方針を決断しました。
これにより、キプロスからロシアマネーが流出するのは、ほぼ間違いありません。


さて、ロシアマネーはキプロスからどこへ向かうのでしょうか?


EU加盟国であるキプロスが、ロシアとヨーロッパを繋ぐ役割をしていたとすれば、代替国もEU加盟国であり、キプロスのように金融に力を入れているオフショア国であることが望ましいと考えられます。
特に、EUの金融商品市場指令 (MiFID: Markets in Financial Instruments Directive)に基づく単一パスポート制(あるEU加盟国でライセンスを取得すると他の域内国でも有効になる)を利用したビジネスを展開している場合は、同じビジネスモデルが適用される国に移転する可能性があります。
具体的には、ロシア資本が入っているキプロスのFXブローカーは拠点を移す可能性があると思われます。


マルタ


地中海のミニ国家、マルタ。EU加盟国であり、ユーロ通貨圏。公用語は英語。
FXDDがアメリカの規制を嫌って拠点をマルタに移したのと同じように、キプロスからマルタに拠点を移すFXブローカーが現れるかも知れません。


ルクセンブルク


EU圏の国際金融センターといえばルクセンブルク。プライベートバンクの中心地であり、世界的に名だたる銀行が集中しています。
ビジネスは関係なく資産保全目的でキプロスに資金を置いているロシアの富裕層はルクセンブルクのプライベートバンクに資金を移すかもしれません。


ラトビア


バルト三国の1つ、ラトビア。まだユーロ圏ではないもののEU加盟国。
ラトビアは歴史的にロシアとの結び付きが強く、ロシア語話者が非常に多いのが特徴。そのため、キプロスからロシアマネー逃避先として有力候補に上がっています。
ただ、ラトビアはユーロ圏への加盟申請を決定したばかりということもあり、他のユーロ圏から心証の良くないロシアマネーの受け入れには慎重になっています。


ロシア


案外、ロシアに資金が戻るかも知れません。
ソ連崩壊・ロシア成立からすでに20年以上が過ぎ、現在のEUヨーロッパ諸国に比べれば自国ロシアの方が安全だ、という考えが出てきてもおかしくはありません。


はてさて、金融立国オフショア・キプロスはこのまま終わってしまうのでしょうか?
キプロスは、地理的には北にトルコ、東に中東、南にエジプト、アフリカ諸国と今後成長が期待できる国々に囲まれているというアドバンテージがあります。これを上手く活用出来れば、十分復活の見込みはあるとみています。
例えば、これらの国々の株式や債券を取引できるオフショア証券会社を作ることが出来れば非常に面白いのではないでしょうか?
ルクセンブルクのTD Direct Investing International(旧Internaxx[インタナクス]証券)が日本居住者の新規口座開設を取りやめてしまったので、これに代わるオフショア証券業者がキプロスに設立されれば、日本人クライアントにとっても朗報になると思うのですが…。

http://rt.com/business/russia-offshore-medvedev-601/


キプロスをオフショアとして利用してきたロシアは、いまキプロス問題を契機に、新たに自前のオフショアゾーンを創設することを計画しています。
その場所の候補地がサハリンや千島列島であり、いわゆる北方領土も含まれます。


北方領土問題が絡むため、日本居住者にとってこの計画の行き先は非常に気になるところです。


北方領土を含む千島列島はサハリン州管轄で、日本との時差は2時間。もし北方領土がオフショア化されれば、日本人にとって地理的に近い場所に新しいオフショアエリアが生まれることになります。
しかし、国際法上未帰属地である北方領土がロシアのオフショアゾーンとなり、仮に北方領土法人というものが設立可能になった場合、いったいどのような税務処理がなされるのか全く未知の世界。日本政府からすれば、北方領土で設立された法人は日本法人であるという見解を示すかも知れません。


いっそ、攻殻機動隊(イノセンス)に出てくるロシアと日本の主権がぐちゃぐちゃな択捉経済特区の現出に至ってくれると非常に面白いと思っています。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJQLKB6JIJUP01.html


ユーログループがキプロスに1兆2500億円規模の救済策を実施するかわりに、キプロス全銀行の口座に対して6.75%〜9.9%の課税を行い、すでに相当額について口座資金を凍結し、税金をして徴収される見通し。


また、現行の法人税10%から、12.5%への引き上げも決定されました。

キプロスはEU加盟前は法人税4.25%でしたが加盟するタイミングで10%に引き上げられた経緯があります。

今回さらに法人税が引き上げされることで「EU圏のオフショア」というポジションに黄色信号が点灯するかも知れません。


なお、キプロスの銀行に口座を持っている方やキプロス法人を保有されている方は影響がありますので続報を注視しましょう。

キプロス(Cyprus)の主要なオフショア銀行

 
キプロスの場所

キプロス(Cyprus)は、トルコの南に位置するキプロス島からなる国です。
キプロスは、北キプロス・トルコ共和国とキプロス共和国の2つに南北分断されていますが、国際的にキプロスといえば南の「キプロス共和国」を指します。首都は、北、南、ともにニコシア。従って、ニコシア市は町自体が南北に分断されています。

キプロスは無税ではありませんが、法人税が4.25%10%(→12.5%へ引き上げへ)と低いためオフショアとして扱われます。イメージとしては香港に近いかも知れません。
キプロス法人

Bank of Cyprus (キプロス銀行
http://www.bankofcyprus.com/
イギリスギリシャオーストラリアルーマニア、チャネルアイランド(ガンジー島)にグループ銀行があります。
ムーディーズ 長期:A2 / 短期:P-1
フィッチ 長期:A- / 短期:F2

Marfin Popular Bank (マーフィン・ポピュラー銀行):[別名 Laiki Bank (ライキ銀行)]
http://www.laiki.com/
CyprusPopularBankがギリシャの金融グループ、マーフィンフィナンシャル(インベストメント)グループに編入したことによりMarfinPopularBankに改名。
S&P 長期:BBB+ / 短期:A-2

Hellenic Bank (ヘレニック銀行)
http://www.hellenicbank.com/

Universal Bank (ユニバーサル銀行)
http://www.usb.com.cy/

Alpha Bank Cyprus (アルファ銀行キプロス)
http://www.alphabank.com.cy/
ギリシャの大手銀行AlphaBank(http://www.alpha.gr/S&P 長期:BBB+ / 短期:A-2)が、1998年に Lombard NatWest Bank を子会社化した際、銀行の名称をAlpha Bank に変更。

BNP Paribas Cyprus (BNPパリバ・キプロス)
http://www.cyprus.bnpparibas.com/
フランス・パリに拠点を置くパリバグループ(日本語)のキプロス法人。

Emporiki Bank Cyprus (エンポリキ銀行キプロス)
http://www.emporikicyprus.com/
ギリシャのエンポリキ銀行のキプロス法人。
フランスのクレディ・アグリコルのグループ。

Kommunalkredit International Bank (コミューナルクレジットインターナショナル銀行)
http://www.kib.com.cy/
オーストリアのKommunalkreditのキプロス法人。

Societe Generale Cyprus(ソシエテジェネラル・キプロス)
http://www.sgcyprus.com/
フランスのソシエテジェネラルのキプロス法人。

Coop Central Bank (コープセントラル銀行)
http://www.coopbank.com.cy/

Cyprus Development Bank (キプロス開発銀行)
http://www.cyprusdevelopmentbank.com/

Euroinvestment & Finance (ユーロインベストメント・アンド・ファイナンス)
http://www.eurocy.com/

FBME Bank (FBME銀行)
http://www.fbme.com/

Barclays (バークレイズ)
http://www.barclays.com/
英国バークレイズのキプロス支店。現地人向け。

Banque SBA (SBA銀行)
http://www.banque-sba.com/
フランスのSBA銀行のキプロス支店。現地人向け。

Trasta Komercbanka (トラスタ商業銀行)
http://www.tkb.com.cy/
ラトビアのトラスタ商業銀行のキプロス支店。現地人向け。

Arab Jordan Investment Bank (AJIB:アラブ・ヨルダン投資銀行)
http://www.ajib.com/
ヨルダンのAJIBのキプロス支店。現地人向け。

Bank of Beirut (ベイルート銀行)
http://www.bankofbeirut.com.lb/
レバノンのベイルート銀行のキプロス支店。現地人向け。

Promsvyazbank
http://psbank.ru/
ロシアのPromsvyazbankのキプロス支店。現地人向け。

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