海外投資家 課税見直し

運用益への法人税廃止〜租税条約外の国でも

政府は対日投資を促進するため、外国の投資ファンドや企業の委託を受けて日本で資金を運用する業者への課税を今年度から見直す。
現状では日本と租税条約を結んでいない国の海外投資家から受託した運用業者の運用益に法人税がかかるが、一定の条件を満たせば課税しないようにする。資源高で投資資金を膨らませる中東諸国などの投資を呼び込む狙いがある。

投資家が外国で投資する場合、その国の運用会社などと投資契約を結ぶことが多い。現行制度では、日本と租税条約を結んでいない国の投資家と契約を結んだ運用会社の運用益には最大で40%の法人税が課されてしまう。
日本は米欧など56か国とは租税条約を結び、こうした課税を免除している。一方でオイルマネーを背景に世界の投資市場で存在感を強めるアラブ首長国連邦(UAE)やクウェート、サウジアラビアなどの中東諸国やウランが豊富なカザフスタンとの間では条約を結んでいない。
 
こうした制度は、「ファンドマネージャー課税」とも呼ばれ、先進国では珍しい存在となっている。日本の運用業者が法人税を課税されると、海外投資家が受け取る運用益もその分だけ目減りし、日本に投資するメリットが乏しくなる。
課税を嫌って海外ファンドや外国企業から運用の委託を受けた業者がシンガポールなど海外に拠点を置くケースもある。証券会社からは「実質的な非関税障壁で対日投資を減らす一因」との指摘が出ていた。
 
政府は4月にも関連する政令を改正し、日本が租税条約を結んで国の投資家から運用を任された業者の運用益についても法人税を課さない考えだ。
 
ただし新制度は、運用業者が委託元から十分に独立していることが必要になる。「運用の細かい指図を海外投資家から受けず、自らの判断で資金を運用できる」ことや「複数の顧客から委託を受けられる運用能力がある」などが条件となる。業者に必要書類の提出を求めたり、面談をしたりして政府が点検する方式を検討している。
委託元から受け取る手数料については法人税がかかる。
 
中東諸国などの投資資金は原油をはじめとした資源価格の高騰を背景に急増。例えば、UAEの政府系ファンド、アブダビ投資庁は8,000億ドル超、クウェート投資庁は約2,000億ドルの資金を世界で運用しているといわれる。
 
政府は資源国からの日本への投資が増えれば、日本企業の油田権益の更新が円滑になり、投資先の日本企業に資源を安定的に供給する可能性も高くなるとみている。国際的な資源獲得競争もにらみ、政府は中東などの対日投資を阻害しない税制を整えることが急務になると判断した。

[日本経済新聞 2008年4月15日 より引用]