対オフショア姿勢を強めるアメリカ
スイス金融大手のUBSは米国人向けの業務から撤退する。同グループのブランソン最高財務責任者(CFO)が17日、米上院の公聴会で明らかにした。米富裕層の脱税の温床になっているとして、米当局の調査を受けていたことを踏まえ「問題の業務から完全に撤退することを決めた」という。
ブランソン氏は「起きてしまった法令順守の失敗を心から悔やんでいる」と強調。プライベート・バンキングと呼ばれる資産の管理サービスや証券業務、口座の開設などについて米国人向けはやめると表明した。
米メディアによると、司法や税務の当局は脱税の有無を明らかにするため、UBSに顧客の名簿提出を求めるなど匿名性の高い取引に風穴を開けようと調べを進めている。民主党のオバマ上院議員がスイスなどに資産を移して課税を逃れる行為を批判するなどUBSの問題は米国で注目が高まっていた。
NIKKEI NET(日経ネット)より引用
オバマ氏は、「タックスヘイブン乱用防止法(Stop Tax Haven Abuse Act)」の成立を目指すメンバーの1人です。
このタックスヘイブン乱用防止法は、指定ブラックリスト国家(オフショア)に対する脱税調査や脱税に関わったと推定される銀行がアメリカ国内でクレジットカード発行することを止めさせる制裁措置を規定しています。
この法案が指定するオフショア国家とは下記の34ヶ国です。
・Anguilla(アンギラ)
・Antigua and Barbuda(アンティグア・バーブーダ)
・Aruba(アルバ)
・Bahamas(バハマ)
・Barbados(バルバドス)
・Belize(ベリーズ)
・Bermuda(バーミューダ)
・British Virgin Islands(BVI:英領ヴァージン諸島)
・Cayman Islands(ケイマン諸島)
・Cook Islands(クック諸島)
・Costa Rica(コスタリカ)
・Cyprus(キプロス)
・Dominica(ドミニカ)
・Gibraltar(ジブラルタル)
・Grenada(グレナダ)
・Guernsey/Sark/Alderney(ガーンジー島/サーク島/オルダニー島)
・Hong Kong(香港)
・Isle of Man(マン島)
・Jersey(ジャージー島)
・Latvia(ラトビア)
・Lichtenstein(リヒテンシュタイン)
・Luxembourg(ルクセンブルク)
・Malta(マルタ)
・Nauru(ナウル)
・Netherlands Antilles(オランダ領アンティル)
・Panama(パナマ)
・Samoa(サモア)
・St. Kitts and Nevis(セント・キッツ&ネイビス)
・St. Lucia(セント・ルシア)
・St. Vincent and the Grenadines(セント・ビンセント・グレナディーン諸島)
・Singapore(シンガポール)
・Switzerland(スイス)
・Turks and Caicos(タークス・カイコス諸島)
・Vanuatu(バヌアツ)
オバマ氏が大統領となれば、オフショアvsアメリカの対決の構図はより鮮明になるはずです。
(アメリカには、デラウェア州というタックスヘイブンが存在していますので、この場合のオフショアとはアメリカ国外のオフショアを指します)
問題は、このアメリカの姿勢を受けた日本の対応です。
いま日本で「オフショア」といってみても、海外投資に興味を持つ人くらいしかピンと来ないでしょう。
また、「実際にオフショアを活用しているよ」という人でも、香港のHSBCに口座を開いてそのまま・・という人も多いはずです。
このようなオフショア未熟国の日本でさえ、実はオフショア利用が制限されつつあります。
例えば、富裕層向けのサービスを提供しているバークレイズ・ウェルスは、ジャージー島やガーンジー島、香港、シンガポールなど世界的なオフショアネットワークを持つオフショア銀行です。しかし、サイトに「日本人とアメリカ人、アメリカ居住者にはサービスを提供しません」と明記されています。
※どのページの一番下にも「Products and services on this site may not be
available in certain jurisdictions. In particular, these products and services
are not being offered in Japan or the United States or to US residents.」という文章があります。
すでに「日本(Japan)」という特定の国名が出てきているのです。「日本人」にはオフショアサービスを提供しませんよ、と宣告されているのです。
このことは、公表はしていないものの、オフショアサービス申込み段階で拒否するケースが多数存在するであろうことを示唆しています。
恐い話です。
日本という地理的島国が、国際金融的にも島国になってしまおうとしています。
政府中枢の人間は、既に個人的な財産をオフショアに逃避させてしまっているというのが専らの噂ですが、あとは世に出回っている預金封鎖関連の書籍よろしくジワジワと、それと意識させることなく巧妙に、しかし確実に一般庶民の経済的自由が奪われていくのかも知れません。経済的自由を奪われた後は身体の自由を奪われるのが常。
ほら、既に燃料サーチャージが高騰して海外に出かけることが出来ない人が増えているのではありませんか?
海外どころか、自動車で隣の町まで出かけることすら困難になるかも知れませんよ。
財産・身体の自由を奪われたら最後。あとは何もしなくても生命が勝手に消滅していきます。
全く以て恐い話です。
コメント