よく巷には、オフショア発行国際デビットカードというものが出回ることがあります。
大抵は、VISAMastercardのネットワークを使用していますので、日本を含め世界中で使用することが可能です。


さらにカードの分類として、カード表面に名前が記載された「記名」式と名前の記載されていない「無記名」式に大別されます。


さて、「記名式」と「無記名式」。優れているのはどっち?


この場合の『優れている』という判断は、カードを持つ目的に大きく依存します。
もし、日常生活のメインカードとして使用するのが目的の場合は?
この場合は、名前が印字された記名式の方が利便性が高そうです。
しかし、一般的に、日本での日常生活の上でわざわざ海外で発行されたカードを使用するというのは考えにくいケースです。昔のように、自己破産等によりクレジットカードを持てない方が一時的に海外発行のカードを持つというような局面であればいざ知らず、現在では多くの銀行で信用審査不要のデビットカード(楽天銀行デビットカードなど)が発行されており、信用ブラックであることを理由に海外発行のカードを持つという人は極めて希です。


では、現在、海外発行のカードを持つ大きな理由はなんでしょうか?
それは、資産管理の一環として、という方が多いはずです。


中には一歩すすめて、資産保全、という方もいるかも知れません。
将来、もしかしたら日本が破綻するかも知れない。破綻まではしなくても、経済力が衰え、円の価値が下がるかも知れない。
だから、今の内に資産を海外に分散し、万が一に備えよう。
そういう人は多いはずです。


そのような方にとって国際デビットカードは、日常生活のメインカードにはなりえません。
通常は持っていることすら秘匿します。
なぜなら、そういう人にとって海外資産の存在自体が最高機密情報であり、その海外資産と繋がる国際カードの存在もまた機密情報の一部であるからです。


そう考えると、記名式と無記名式。機密性保持能力に優れているのは自明の理です。
答えは、『無記名』式。
仮に、道端に落としても、誰かに盗まれたとしても、カード表面に名前が印字されていない無記名カードは、保有者の名前を秘匿してくれます。


プライバシー保全の面から考えても、むやみやたらに名前が記載された金融ツールの利用はお勧め出来ません。
資産家であればなおさら、命に関わるようなご時世です。
是非、御一考あれ。