従来、オフショアビジネスの最終ゴールは『オフショアバンク設立』と謳われて来ました。


確かに、どのような事業体であれ、ある程度事業規模が大きくなった暁には自社グループ内に銀行設立するというのが成功企業の定番だったように思います。


しかし、タックスヘイブンとしてのオフショアに銀行を設立するというのは、先進国クラブともいうべきOECD(経済協力開発機構)からの強力な圧力もあり、非常にハードルが高くなってしまいました。そのため、新規設立準備コストが大きく膨らみ、10年前に比べてオフショアバンク設立という目的地の魅力がやや減衰しています。


とはいえ、国際金融センターの地位を保ってこそのオフショア(タックスヘイブン)。OECDから圧力をかけられて国際金融業が出来ないとなれば、それこそ国家存亡の危機です。
そこで今、オフショア各国では銀行ではない金融業のためのライセンス発行にシフトし、関連する法制度の整備に力を入れています。「銀行」でなければ、圧力は比較的小さいからです。
ここ10年余、新規のオフショアバンクはあまり登場していない代わりに、オフショア証券会社やオフショアFX会社が増えているのはある種それを裏付けていると言えるかも知れません。


この「銀行ではない金融ライセンス」は、発行される国によって内容は異なりますが、



  • 第三者からの資金預かり及び管理

  • 送金事業

  • 証券取引仲介業務

  • 外国為替取引仲介業務(FXブローカー)

  • 融資

  • ファンド


など、いわゆる銀行業務を小分けにしたような内容になっています。


あくまでオフショアバンクを設立したい場合は別ですが、業態特化型の金融ビジネスを展開するのであれば、事業別にライセンスを取得するというのは十分検討に値する選択肢になり得ると思います。


それぞれのライセンス取得コストは、資本金(払い込み必要)を含めて数百万円程度から。
数億円以上必要になる銀行設立に比べれば、極めて安いと言えます。